登記簿を見ても持ち主にたどり着けない──いわゆる所有者不明土地は、公共事業でも民間の取引でも大きな壁になります。当社は補償コンサルタントとして土地調査を行う立場から、国土交通省の対応事例集の中から実務で応用が利く探索手法5つをご紹介します。
なぜ「持ち主不明」が増えたのか
提灯を掲げて、持ち主を探しに
相続のたびに登記がされないまま代替わりが重なると、登記簿の名義人は何十年も前の故人のまま──ということが起こります。国もこれを重く見て土地基本法の方針を改め、2024年4月からは相続登記が義務化されました。それでも、すでに発生している所有者不明土地の調査は、地道な探索に頼るほかありません。
実務で使える探索手法・五選
- 旧土地台帳をたどる閉鎖謄本や関係者への聞き取りに加え、法務局に残る旧土地台帳の確認が有効です。地味ですが、調査の基本にして王道です。
- 課税台帳から探す固定資産税を誰かが払っているなら、その人が手がかりです。登記名義人と異なる納税義務者を確認し、聞き取りへつなげます。
- 不在者財産管理人の選任生死も居所も分からない場合、家庭裁判所に申し立てて財産管理人を選んでもらう制度です。選任されれば遺産分割や売却にも道が開けますが、簡単には認められません。「なぜ申し立てに至ったか」を示す調査記録の積み上げが必要です。
- 認可地縁団体の登記特例要件を満たして法人格を得た町内会・自治会(認可地縁団体)は、相続人全員の承諾が取れない共有地について単独で登記できる特例があります。地域の共有地で威力を発揮します。
- 筆界特定制度を使う隣地の所有者が見つからず境界が確定できないケースでは、登記官が筆界を特定する制度が使えます。裁判より軽い手続きで、私たちも現場でよく検討する選択肢です。
調査の記録が、次の一手を生む
5つの手法に共通するのは、調査の過程を記録として残すことの大切さです。特に裁判所や登記官を動かす手続きは、「ここまで調べたが分からなかった」という記録そのものが申立ての根拠になります。行き当たりばったりに探すのではなく、台帳調査→聞き取り→制度の活用、と順序立てて記録しながら進めるのが結局の近道です。
むすび
所有者不明土地の調査は、補償コンサルタントの土地調査業務の中でも根気のいる仕事です。公共事業のご担当者さまで難航している案件があれば、経験に基づいたお手伝いができます。
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