発注機関が指名競争入札で選定する際に活用するデータベースシステムがあります。
そこでは企業側が過去に行った測量や設計業務実績を登録し、発注機関が確認できる事で安心して企業選定できる便利なシステムです。
今回はそのデータベースシステム、テクリスについて解説していきたいと思います。
テクリスとは?
テクリスとはわかりやすくいうと、調査設計業務・地質調査業務・測量業務・補償コンサルタント業務などのデータベースです。
国・都道府県・市区町村等の公共機関や、鉄道・電気・ガス等の公益民間企業が発注した業務を受注した企業が、コリンズ・テクリスセンターに下記の情報を登録します。
テクリス登録情報
- 業務件名
- 請負金額
- 履行期間
- 発注機関名
- 契約形態
- 業務概要
- 技術者データなど
コリンズ・テクリスセンターはJCIC(一般財団法人日本建設情報センター)が運営しています。
テクリスの活用と効果
テクリスの目的は官公庁などの発注担当者が、業者選定をする際に業務実績を確認しやすくするものです。
指名競争入札の場合は、発注者がこれまでの実績を総合的に勘案し指名業者を選定します。
テクリスのデータベースを確認すれば、同様案件の実績を有する業者を確認することができます。
同様案件を無事に完了したという実績ほど安心材料はありません。
また、希望性指名競争入札や一般競争入札の場合も、希望業者の実績要件を満たしているかを確認するためにテクリスは利用されます。
公共工事の前提となる業務の発注にあたっては、業務の地域性、特殊性、企業の技術力などを総合的に評価する必要があります。
このため発注機関は公平な評価により適切な企業を選定し、各業務の入札・契約手続の透明性、競争性を一層向上させるためテクリスを活用しています。
発注機関だけじゃない!企業側としてのメリット
企業側にとってのメリットは、テクリス登録することで実績を積み上げることができ、指名獲得に繋がる可能性があることです。
テクリス登録によって、実績が可視化されることで指名を受ける可能性は高まります。
テクリス登録しない業者もまだいますので、差別化が図れるようになっています。
手間や費用がかかっても、発注者からの信用を獲得したほうがより利益率の高い仕事に繋がります。
実績を積み上げていける企業にとっては有利な仕組みといえるでしょう。
テクリスに登録している事を条件にしている機関も増加!
また、入札参加資格として、テクリスに登録していることを条件にしている発注機関も増えています。
それらの発注機関の多くが業務契約の際、受注した企業に対して、業務実績データをテクリスへ登録することを仕様書等の契約図書に記載して義務付けています。
テクリスの案件登録における流れ
テクリスは利用責任者を設ける必要があります。
基本的にはテクリスとの窓口は利用責任者となりますので、会社に案件登録に必要な書類を提出します。
案件登録内容
- 業務件名
- 請負金額
- 履行期間
- 発注機関名
- 契約形態
- 業務概要
- 技術者データ
- 発注機関の連絡先など
これらの必要事項をまとめて、利用責任者から仮登録をします。
仮登録が完了すると、システムから「登録のための確認のお願い」が発注機関に送られます。
登録内容が正しいかどうか、発注機関の確認を受ける必要があります。
企業担当者は発注担当者に連絡し、テクリス登録のメールがJACICから届くことと、確認できたら署名の上PDFをいただけるようお願いをします。
発注者から修正指示があった場合には修正し、再度確認申請を行うことになります。
発注機関から確認の署名をもらえたら、利用責任者にPDFを送付し実績データの登録をします。
なかなか署名を返してくれない担当者もいますので、確認次第すみやかに署名してもらえるようお願いすることが大切です。
発注機関からの証明がもらえないと登録できないので注意しましょう。
まとめ
料金や手間というデメリットはありますが、実績が積み上がっていけば指名をもらえる可能性が高まります。
発注機関もまた実績を確認して、安心できる企業選定をすることに役立っています。
テクリスは企業・発注機関をつなぐデータベースとして活用されているのです。
(愛徳コンサルタント株式会社)