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測量の歴史を巡る旅 – 測定単位の変遷と国際的な違い

測量は人類の歴史とともに歩んできた重要な技術です。土地の区画分けや建築物の設計、地図作成など、私たちの暮らしに深く関わる測量技術は、古代から現代まで様々な測定単位が使われてきました。

本記事では、測量の測定単位の歴史的背景や単位の変遷、さらに異なる国や文化圏での単位の違いについて解説していきます。

目次

古代の測定単位

古代の測定単位は、さまざまな文明において異なる単位が使用されていました。以下に、いくつかの古代文明で使用されていた測定単位について詳しく説明します。

古代エジプト

古代エジプトでは、キュビット(cubit)が主要な長さの単位として使われていました。キュビットは、肘から中指の先端までの距離を基準にしており、約52.3cmとされています。また、キュビットはさらに細かい単位に分けられており、1キュビットは7パルム(palm)に等しく、1パルムは4デジット(digit)に等しいとされていました。

バビロニア

バビロニアでは、エジプトのキュビットを元にしたシュシュ(shushu)という単位が使用されていました。シュシュは約66cmで、主に建築や土地測量に用いられていました。また、バビロニアでは、リットル(litu)という長さの単位も使われており、約1.5mとされています。

古代ギリシャ

古代ギリシャでは、スタディオン(stade)という長さの単位が使われていました。スタディオンは約185mで、競技場の長さや土地の測量に使用されていました。また、古代ギリシャでは、プレクトロン(plethron)という単位も使われており、約30mとされています。

古代ローマ

古代ローマでは、ペース(pace)が主要な長さの単位として使われていました。ペースは、一歩の長さを基準にしており、約1.5mとされています。また、ミリア(milia)という単位も使われており、約1.5kmとされています。その他にも、ローマの単位にはフート(foot、約29.6cm)やウルナ(ulna、約45cm)などがありました。

これらの古代の測定単位は、各文明の測量技術や社会制度と密接に関係しており、歴史や文化の違いを反映しています。古代文明が発展する中で、それぞれの単位が独自に進化し、異なる単位が生まれていったのです。

中世から近世の測定単位

中世から近世にかけての測定単位も、各国や地域ごとに異なる単位が使われていました。以下に、いくつかの国や地域で使用されていた測定単位について詳しく説明します。

イギリス

イギリスでは、インチ(inch)、フィート(foot)、ヤード(ヤード)、マイル(mile)などの単位が使われていました。インチは約2.54cm、フィートは12インチ(約30.48cm)、ヤードは3フィート(約91.44cm)、マイルは1,760ヤード(約1,609m)とされています。これらの単位は、イギリス帝国の拡大に伴って世界中に広まりました。

フランス

フランスでは、トワーズ・フート(pied du roi)が主要な長さの単位として使われていました。トワーズ・フートは約32.5cmで、その他にもアルニ(aune、約120cm)やリーグ(lieue、約4km)などの単位がありました。フランス革命後、フランスではメートル法が導入され、現代の国際単位系(SI)の基礎が築かれました。

ドイツ

ドイツでは、フッセ(Fuss)やエレン(Elle)といった単位が使われていました。フッセは約30cmで、エレンは約45-80cmで、地域によって長さが異なっていました。また、ミーレ(Meile)という長さの単位も使われており、約7.5kmとされています。

日本

日本では、尺貫法が使われており、尺(shaku)、寸(sun)、里(ri)などの単位がありました。尺は約30.3cm、寸は尺の10分の1(約3.03cm)、里は約3.927kmとされています。また、面積の単位として畝(tsubo)が使われており、1畝は約3.31平方メートルです。

これらの中世から近世の測定単位は、各国や地域の文化や歴史に根ざしており、多様な単位が存在していました。しかし、19世紀にメートル法が広まり始め、次第に国際的な標準化が進んでいきました。現代では、国際単位系(SI)が世界中で広く使われています。

異なる国や文化圏での測定単位

異なる国や文化圏では、独自の測定単位が歴史的に使用されてきました。以下に、いくつかの国や文化圏で使用されている測定単位について詳しく説明します。

中国

中国では、尺(chǐ)、寸(cùn)、丈(zhàng)などの単位が使われています。現在の中国尺は約33.3cm、寸は尺の10分の1(約3.33cm)、丈は10尺(約333cm)とされています。また、里(lǐ)という長さの単位もあり、約500mとされています。

インド

インドでは、アングル(angula)、ハスタ(hasta)、グニ(guni)などの単位が使われています。アングルは約1.9cm、ハスタは約45.7cm、グニは約1.63mとされています。また、ヨジャナ(yojana)という長さの単位もあり、約12.2kmとされています。

ロシア

ロシアでは、アルシン(arshin)、サジェン(sazhen)、ヴェルスタ(versta)などの単位が使われています。アルシンは約71.1cm、サジェンは3アルシン(約2.13m)、ヴェルスタは500サジェン(約1.067km)とされています。

アメリカ

アメリカでは、イギリス由来のインチ(inch)、フィート(フィート)、ヤード(ヤード)、マイル(mile)などの単位が使われています。インチは約2.54cm、フィートは12インチ(約30.48cm)、ヤードは3フィート(約91.44cm)、マイルは1,760ヤード(約1,609m)とされています

アフリカ

アフリカでは、さまざまな民族や地域ごとに独自の測定単位があります。例えば、エチオピアでは「ガズ」(gaz)が使われており、約40cmとされています。また、ナイジェリアのハウサ族では、「ダンド」(dandi)が使われており、約60cmとされています。

異なる国や文化圏では、独自の測定単位が使われてきましたが、現代では国際単位系(SI)が世界中で広く使われており、標準化が進んでいます。ただし、一部の国や地域では、伝統的な単位が今でも使用されていることがあります。

それでも、伝統的な単位が今でも使用されている理由は、文化的なアイデンティティや慣習の継承、また一部の産業や地域社会での特定の用途に適した性質があるためです。例えば、アメリカでは建築業界や木材業界でフィートやインチが使われています。同様に、イギリスでは道路標識でマイルが使用されています。

メートル法の導入と国際単位系(SI)

メートル法

メートル法は、長さ、質量、容量などの物理量を測る単位の体系で、1790年代のフランス革命後にフランスで開発されました。当時、フランスでは多くの異なる単位が存在し、交易や科学の発展に支障をきたしていました。そこで、単位を統一し、国際的に利用できる単位体系を作ることが求められました。

フランスの科学者たちは、地球の大きさに基づく新しい長さの単位「メートル」を考案しました。このメートルは、地球の子午線に沿って測った長さの1/10,000,000と定義されました。これにより、メートルは自然現象に基づく普遍的な単位となりました。メートル法は、長さの単位だけでなく、質量の単位「キログラム」や容量の単位「リットル」も含むようになりました。

国際単位系 (SI)

メートル法は19世紀に入ると、次第に他の国々でも導入されるようになりました。しかし、単位の標準化が進む中で、さらに正確で一貫性のある単位体系が求められるようになりました。この要求に応える形で、1960年に国際度量衡総会によって国際単位系(Système International d’Unités、SI)が制定されました。

国際単位系(SI)は、メートル法を基盤としており、7つの基本単位と20の導出単位から構成されています。基本単位は以下の通りです。

  1. 長さ:メートル (m)
  2. 質量:キログラム (kg)
  3. 時間:秒 (s)
  4. 電流:アンペア (A) 5
  5. 温度:ケルビン (K)
  6. 物質量:モル (mol)
  7. 光度:カンデラ (CD)

これらの基本単位を組み合わせることで、さまざまな物理量の導出単位が作られます。例えば、速度の単位「メートル毎秒(m/s)」や圧力の単位「パスカル(Pa)」などがあります。

現代では、国際単位系(SI)は世界中で広く使われており、科学技術や国際取引などの分野で、単位の混乱を最小限に抑えることができる標準化された単位体系として機能しています。また、国際単位系(SI)は、科学技術の進歩に伴って定期的に見直され、より正確で一貫性のある単位となるように改定されています。

現代の測量技術と単位の適用

現代の測量技術は、高度な技術や精密な機器を用いて、より正確で効率的な測定を実現しています。また、国際単位系(SI)が広く採用されていることで、世界中で共通の単位が使われており、測量結果の標準化が図られています。以下に、現代の測量技術と単位の適用について詳しく説明します。

GPS(全地球測位システム)

GPSは、地球上の任意の位置を正確に測定するための衛星ベースのナビゲーションシステムです。GPSは、複数の衛星から送信される信号を受信し、測位原理に基づいて緯度・経度・高度を計算します。位置情報は、一般的に度(°)やメートル(m)などのSI単位で表されます。

レーザー測量

レーザー測量は、レーザー光を用いて距離や角度を正確に測定する技術です。光波の干渉を利用した干渉計や、レーザー光の往復時間を測定する測距計などがあります。これらの機器は、建設現場や土地測量で広く使われており、測定結果はメートル(m)、ラジアン(rad)などのSI単位で表されます。

フォトグラメトリー

フォトグラメトリーは、空中写真や衛星画像を用いて地形や建造物の3次元モデルを作成する技術です。画像から抽出された情報は、地図作成や地理情報システム(GIS)で利用されます。測定結果は、メートル(m)や平方メートル(m²)などのSI単位で表されます。

地磁気測定

地磁気測定は、地球の磁場を測定することで地下の構造や資源の分布を調査する技術です。磁気センサーを用いて地磁気の強度や勾配を測定し、地下構造の情報を得ます。地磁気の強度は、テスラ(T)というSI単位で表されます。

これらの現代の量技術は、高度な技術や精密な機器とともに、国際単位系(SI)を使用することで、正確で効率的な測定が可能となっています。また、国際的な標準化が進んでいることで、測量技術の発展や国際的な技術交流が容易になり、さまざまな分野での応用が拡大しています。

まとめ

測量の測定単位は、古代から現代まで様々な変遷を辿ってきました。国や文化圏によって異なる単位が存在しましたが、現代では国際単位系(SI)によって標準化されています。測量技術の発展とともに測定単位も進化し、国際的な協力や技術交流が円滑に行われるようになりました。測量の歴史を知ることで、私たちの暮らしに欠かせない測量技術の重要性を再認識することができます。

(愛徳コンサルタント株式会社)

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