この五月、東京・両国で開かれた第66回「道路橋点検士技術研修会」(一般財団法人 橋梁調査会)に参加してきました。三日間の研修と、最終日の実技試験・学科試験。結果は──不合格。橋梁点検の実務経験ゼロで挑んだ初陣の顛末と、それでも下を向かない理由を、正直に記録します。
道路橋点検士とは ─ 橋の「健康診断」を担う技術者
日本の道路橋の多くは高度経済成長期に架けられ、老朽化が全国的な課題です。すべての橋は5年に1度の定期点検が義務づけられており、その拠り所が国土交通省の「橋梁定期点検要領」(令和6年7月)。道路橋点検士は、この要領を理解して橋の損傷状況を適切に把握・記録できる技術者を、橋梁調査会が認定する資格です。
研修会は三日間。初日は座学(点検要領と「損傷程度の評価要領」の解説)、二日目は実際の高架橋に潜っての現地実習、そして最終日に実技試験と学科試験が待っています。
RCCMが開けてくれた扉
受講には本来、学歴に応じた橋梁の実務経験が必要です。ただし技術士やRCCMなどの資格保有者は、この実務経験が免除されます。橋梁点検の経験がない私が受講の席に着けたのは、RCCMを取得していたから。資格の石段を一段ずつ登ってきたことが、また新しい扉を開けてくれました。資格は「持って終わり」ではなく、次の挑戦への入場券になるのです。
「分からないことさえ、分からない」─ 実技試験の洗礼
二日目の現地実習では、高架橋の桁下で上部構造・下部構造・支承部の損傷を確認し、記録します。周りの受講者がすらすらと調書を埋めていく横で、私はどこを見て、何を書けばいいのかから手探りでした。
最終日の実技試験は、その現地実習の結果を約2時間半で点検調書に整理するもの。学科試験(橋梁・橋梁点検の基本知識)は、これまでの資格勉強の貯金が効いておそらく合格点の手応えでした。しかし実技は完敗。ひびわれの幅、腐食の広がり、遊間の異常──経験のない私は「分からないことさえ分からない」状態で、正直に言えばパニックのまま答案を埋めることになりました。
七月上旬、結果通知が届きました。不合格。予感はしていても、通知の文字はやはり応えます。
敗因は明白、ならば潰す ─ 秘策は自作のWEBアプリ
負けた理由ははっきりしています。損傷の種類ごとの評価区分(a〜e)の「見立て」が、頭ではなく体に入っていなかったこと。逆に言えば、そこを潰せば戦えるということです。
この悔しさをきっかけに、私は自分でプログラムを書いて道具を作りました。それが弊社開発のWEBアプリ「損傷程度の評価アプリ」です。
橋梁定期点検要領に基づく26種類の損傷について、損傷の状態を選ぶだけで評価区分a〜eをその場で判定できる道具です。ログイン不要・無料で、スマホでもパソコンでもどなたでもお使いいただけます。現場に合わせた昼の画面と、上のCSS画のようなネオン仕立ての夜間モードも備えました。測量会社がWEBアプリまで自社開発するのかと驚かれますが、これも弊社の業務の柱のひとつ「WEBアプリ開発」の実演です。
abcde 損傷程度の評価アプリ ログイン不要・無料 ─ 26種類の損傷の評価区分a〜eをその場で判定(弊社開発) 使ってみる ─毎日このアプリで「見立て」を鍛えながら、九月の再戦に備えています。
九月十五日、再戦
そして先日、第69回研修会(9月15日から三日間・東京)の参加資格を得ました。前回は「分からないことが分からない」まま試験に臨みましたが、今度は違う。実技試験で何が問われるかを知り、対策の道具も自分の手で作りました。次こそ確実に合格します。結果は勝っても負けても、この便りでご報告します。
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