測量は、人類最古の技術のひとつです。文明が生まれるところ、必ず「測る人」がいました。今日は肩の力を抜いて、縄と星から始まった測量の歴史を、単位の話も交えてめぐってみましょう。錦絵のサイトらしく、江戸の測量家にも立ち寄ります。
ナイルの氾濫が、測量を生んだ
古代エジプトでは、ナイル川が毎年氾濫して農地の境界が消えました。そこで結び目のついた縄を張って土地を測り直す専門家「ロープストレッチャー(縄張り師)」が生まれます。太陽や星で方角を定め、水盛りで高低を測る──ピラミッドの驚異的な精度も、この技術の上に建っています(現代のDIY測量に応用する記事もどうぞ)。メソポタミアでは灌漑水路のために、ギリシャではピタゴラスやユークリッドの幾何学とともに、測量は文明の土台であり続けました。
単位は「体」から生まれた
古の単位は、みんな体の一部でした。エジプトのキュビットは肘から中指の先まで(約52cm)。ギリシャのスタディオンは競技場の長さ(約185m)で、これが「スタジアム」の語源です。日本の「尺」も手を広げた長さに由来します。体基準の単位は便利な反面、人によって長さが違う──この不便が、のちの統一単位への伏線になります。
江戸の測量家・伊能忠敬
日本の測量史で外せないのが、江戸時代の伊能忠敬です。隠居後の55歳から測量を学び、17年をかけて歩いて日本全国を実測。完成した「伊能図」は、明治以降の近代地図にも使われ続けたほどの精度でした。一歩の長さを一定に保つ訓練を重ね、歩数で距離を測ったという逸話は、測量の本質──地道な作業の積み重ねこそが精度を生む──を今に伝えています。私たちが「五十の手習い」に勇気をもらう理由でもあります(大人のゼロからの挑戦記参照)。
メートルの誕生 ─ 地球を測って単位を作る
18世紀末のフランスで、「誰の体にも依らない普遍の単位を」という発想からメートル法が生まれます。定義はなんと「北極から赤道までの子午線の長さの1,000万分の1」。単位を作るために地球そのものを測量したのです。現在の1メートルは光の速さで定義されていますが、その原点に測量があったことは、この仕事に携わる者のひそかな誇りです。
むすび
縄から人工衛星へ、道具は変わっても「土地を正しく測り、暮らしの土台を作る」という仕事の芯は五千年変わっていません。当社のドローン測量も、その長い川の最下流にいる一滴です。
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